マンションリノベーション

MANTION RENOVATION

マンションリノベーションには無限の可能性があります!

マンションリノベーションの基礎知識

断熱について

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さてさて右の図をご覧ください(図1)。これはマンションの立面図です。こんなマンションがあったら皆さんはどこの部屋を買いますか?
答えは6、7、10です。一般的には1、4が最も人気が高いし、お値段も一番高い事が多いですが、6、7、10以外を購入するなら十分に調査をした上での決断が必要です。

EX2
もう一つ質問です。マンションと一戸建て住宅ではどちらが暖かいと思いますか?
もちろん諸条件に寄りますが、答えは一戸建て住宅。昭和の時代の隙間だらけの住宅は別として、実はコンクリートのマンションは決して断熱性能が高いわけではなく意外と寒いのです。
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マンションを購入する時、断熱性能を気にする人はあまりいないかもしれません。しかし実際にはどうでしょう。暖房をしている居間は暖かいのに玄関につながる廊下に出るととっても寒いし、北側の寝室の壁の下の方やクローゼットの中のカビや結露に悩んでいる人はとても多いのです。これはマンションの断熱性能が実はかなり低いことが原因で起こっています。
 コンクリートで出来ている壁は風を通しません。サッシもそこにしっかりついています。従って隙間風はありません。しかしそれは気密性が高いことであり、断熱性が高いわけではありません。ガラスのコップのようなものです。水の漏らないコップは、気密性は高いですが保温性があるわけではありません。断熱材の薄い鉄筋コンクリート造のマンションはガラスのコップのようなものなのです。冷たい水を入れたコップの外側に結露が生じるようにマンションの壁にも結露が生じるのです。やがてそれはカビを生じさせ、人体に害を及ぼすことになります。
 同時に低断熱は室内の急激な温度変化により命さえも奪いかねません。2014年のデータではヒートショックによって年間17,000人の人が命を落としています。(交通事故死亡者の4倍です)また70㎡程度の3LDKのマンションにエアコンを4台も設置して電気代が3万円/月なんていうことにもなりかねません。断熱や省エネの話の時、とかく一戸建て住宅ばかりがテーマとなりますが、マンションにおいても十分に配慮すべき事柄なのです。

フカボリ

では実際にマンションの断熱性を上げるのはどこにどのようなことを行えばよいのでしょうか。具体的なお話をして行きます。

1.どこに断熱材を施工すれば良いのか?

まずは壁です。築年数の古いマンション。概ね昭和の時代のマンションにはともすると断熱材が全く入っていないものも多くあります。平成になってからのものでも15ミリ程度のウレタンフォーム材を吹き付けた程度のものが大半です。それもあちこちに吹き残しのある粗雑な施工のものがとても多いのが現実です。
 またその部屋の上下左右が隣家で外気に面した壁が無かったとしても断熱材を吹くことをおすすめします。隣家が暖房をしていなければこちらの室温を奪うのに十分な低温になってしまうからです。特に外気に面した壁側(玄関側やバルコニー側)は熱橋(ねっきょう)=ヒートブリッジといってコンクリートの壁が直接外気と接しているため、室内の熱を奪う導火線のような役割をしてしまいます。室内側に40センチ程度までは断熱材をしっかりと施す必要があります。(図)
 では部屋が1階にある場合はどうでしょう。床にはフローリングやカーペットが貼ってあるとしても、その下はコンクリートの床です。そしてその下は土、もしくはピットとなっています。特にピットとなっている場合は危険です。ほぼ外気温と同じ温度です。きちんと断熱材が施されていない場合はそこには壁以上の断熱を行う必要があります。
 その部屋が最上階にある場合はどうでしょう。東京では夏至の正午の太陽高度は78度ほどになります。ほぼ直角、真上から太陽が照りつけます。マンションの屋上(屋根)の表面は火傷をするほどの温度になります。当然その直下のマンションの天井裏も大変な温度です。65度くらいまで上昇しても不思議ではありません。最大級の断熱を施さなければ暮らしてはいられません。

2.ではどれくらいの断熱材を施せば良いのでしょうか?

国土全土を8つの地域に区分して、それぞれの温熱環境に即した基準が定められています(図)。ちなみに1都3件のほとんどは5と6の地域に、東北地方の多くは3と4、北海道は1と2、九州や四国の南部は7の地域となっています。(図)(詳細は国土交通省データをごらんください)
 まずは東京など6地域で鉄筋コンクリート造のマンションを例にお話を進めます。断熱材はその個体の性能と施工する厚さで決まります。性能の高い(熱伝導率の低い)断熱材は薄くても良いし、性能の低い(熱伝導率の高い)断熱材の場合は厚めにしなければならないということです。一般的な0.040〜0.035W/m/K程度の熱伝導率のウレタンフォームを吹いた場合、壁には45ミリ、床には60ミリ、天井には100ミリを吹かなければならないということになります(図)。現在のほとんどのマンションに施されている断熱材では全く足りてないのです。

​冷暖房の方法

さて、冷暖房を如何に行うか!
 まず第1に極力、機械に頼らずに夏涼しく、冬暖かく過ごす方法を考えるべきと思います。その上で、それでは無理なところを機械に頼ります。この考え方をパッシブデザインといい、それを図解したものがオルゲー曲線と言われているものです。一戸建て住宅では常識となっていますが、マンションの個々の住戸の間取りやデザインを考える上でこのパッシブデザインの手法を取り入れることを私たちは考えています。
 断熱性能を上げることもここでいう建築的手法の一つですが、ここではそれ以外の幾つかの方法を提案します。

エアコンは1台で!

70㎡ほどの3LDKのマンションに4つものエアコンが設置されるというようなおかしなことにならないようにしたい。1台のエアコン+床暖房で四季を通じて快適な環境をつくることを考えます。
  • まず部屋の間仕切りの上下に風の通り道をつくります。そもそもの形態にもよりますが外部からの風がうまく入るように風の通り道をつくります。終日窓を開けておくことができるように防犯に配慮して、窓の内側(自由に改装できる自分の側)に格子を設けるなどの工夫をします。
  • 四季を通じて取り込みたい太陽の光と取り込みたくない太陽の光を確認し、それを制御します。簾(すだれ)、ブラインド、ガラス、カーテン、障子などを駆使して太陽光を制御します。
  • 室内の間仕切りを風がうまく通るように工夫を施したものとします。
  • ダイレクトゲインを生かした暖房方法を提案します。ダイレクトゲインとは太陽光のエネルギーをそのまま利用するという意味です。一戸建て住宅の場合にはよく行う方法ですが、熱容量の大きいコンクリート土間を、冬の太陽光の当たる場所に設けて、コンクリート土間に蓄熱させる方法です。蓄熱された熱は日没後にゆっくりと部屋を暖めてくれます。この原理をマンションにも活かせないかと考えます。太陽光の当たる床の仕上げ材(フローリングなど)の下に熱容量の大きい素材を埋め込みます。もちろん重量の重いコンクリートを使うことはできないのでその代わりとなる硫酸ナトリウムをパッキングしたものを使います。いわゆる凝固材でコンクリートの5.5倍もの蓄熱性能があります。また人体に無害な上、不燃材料でもあります。床暖房設備と併用することでより快適な環境がつくれます。
  • 冷房については外気温マイナス10度程度ですからさほど難しくはありません。小さな扇風機を併用することでエアコン1台で家中に涼風が行き渡る工夫を行います。

​法律について

区分所有権とは区分所有法によって得た権利のことで、構造上区分された専有部分とその建物が建つ土地の利用権のことです。マンション購入者はその購入した専有部分の中を自由に使う権利があるのですが、実は知っておかないとまずい事がたくさんあります。

どこまでが区分所有権を行使できる専有部分か!

コンクリートの構造体本体は専有部分ではありません。共用部分です。つまり構造体を傷めてはいけないということです。従って厳密にはビス一本打ってはいけないのです。表面に何かを接着剤で貼ったり、色を塗ったりすることは可能です。
 新築で購入したマンションは内部の壁や天井の部材を構造体にビスで取り付けています。設備機器を留めるのも構造体にビスで固定しています。びっくりな事ですが新築マンションのほとんどは区分所有法上は全て違法です。リノベーションを行う場合にはこれらの既存物を解体撤去した上で、新たに取り付ける壁材や天井材、設備機器を接着剤、もしくは新たなビスを使わないアイディアで取り付けなければなりません。これは別な意味でも必要な方法です。工事中の騒音です。リノベーションを行う状況では上下左右に人が住んでいます。もし新築時と同じように構造体にビスを打ったら大変な騒音が発生します。それを避けるためにもビスを使わない方法を考えなければなりません。

窓(ガラスも)や玄関ドアは共用部です。

従ってたとえ壊れたとしても勝手に直したり交換したりすることはできません。管理組合等に相談してマンション全体の共通事項として修理を行わなくてはなりません。

設備配管はとても難しい部分です。

住戸を縦に貫く配管は共用物であり、その配管が通っているシャフトは共用部となります。本来は自由に手を加えることはできません。しかしながら多くのマンションで専有部分の中央部に露出してこの共用配管が通っているケースが見受けられます。困ったものです。その都度建て主と協議して取り扱いを決めています。